日光山輪王寺、開山堂の隣に一間社流造りの朱塗りのお堂があり前面には石の鳥居が建っています。これが「産の宮」です。珍しいことに、このお堂には将棋の駒、それも「香車」が数多く積み重ねられているので一般には「香車堂」とも呼ばれて親しまれています。これは妊娠した女性がこのお堂にお参りして堂前の香車の駒を借りてきてご祈願すると、そのご利益で安産できるというのです。(香車のごとく、まっしぐらに生まれることを願う安産の神様として信仰)そして霊験があった時はそのお礼として新しく駒を作って借りてきた駒とともに返すのです。(※返納用の香車飾り駒も当店にてご購入頂けます。)それで駒の数がだんだん増えてしまったわけです。実はこのお堂の御本尊は楊柳観音(ようりゅうかんのん)さまで、正式には「観音堂」といいます。そして観音さまの縁日の10月18日に、この観音堂で輪王寺の僧侶による法楽が行われ、「観音経」が読誦されます。この、「観音経」の一節には「もし女の人が男の子を欲しいと観音さまを礼拝すれば徳をそなえた利口な男の子を生み、女の子を望めば美しく皆に愛敬される女の子を生むであろう」と説かれています。安産を願う心は昔も今も変わらない。永遠の人々の願いを込めて今日も法要が行われている。香車の駒は増えるばかりである。
情報提供:日光山 輪王寺 教化部
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